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「地域一番店のテイスト」

愛知県支部協会正会員
 杉本 良平
 いよいよ春本番の季節である。今年は2月に名古屋で12年ぶりという大雪が降り、3月になってもなかなか気温が上がらず桜の開花も例年より遅かったため、待ちに待った春の訪れといった感がある。仕事柄、園芸店に伺うことが多いが、春は多くの園芸愛好家が庭づくりや土いじりを始める時期であるため、園芸店にとっては一年のうちで最も活気が出る季節であり、書き入れ時となる。
 数年前に盛り上がったガーデニングブームも現在は一段落し、安定期に入ったというのが業界の多くの者の見方である。
 どのような世界でもそうであるが、安定期にはその前の段階である急激な成長期に比べ、市場内での競争の優劣ははっきりとしてくる。今日的なキーワードでいえば「勝ち組と負け組」が明らかになるといえるのである。
 では「勝ち組と負け組」の間の決定的な差は何であろうか。様々な理由が考えられるが、一つ重要な要素を挙げるとすれば「自店のテイストを持っている」ということがいえよう。
 小売業を例に挙げれば、繁盛している園芸店の売場をじっくりとみるとある共通点が見つかる。それは誰もが分かるように旬の素材(花苗)が美しく陳列され、それらの近くには現物を用いて作った完成鉢や花壇の植え付け例があり、更にPOP等で見事にデコレーションされていることである。つまり旬の素材とは園芸店が今一番おすすめし売りたいと考える商品であり、それらの使用例ともいうべき完成鉢あるいは花壇を自店で作り、同時に分かりやすい商品説明、価格等の情報を載せたオリジナルのPOPをつけ顧客に訴求しているのである。
 もちろん商品の販売時期に合わせてあらかじめ見本品を仕立てるには、旬の良い素材をいち早く手に入れ、自店で育てなければならないなど苦労も多い。しかし「花」という商品は嗜好性が強く、そのため顧客の非計画的購買、簡単に言えば衝動買いの比率が高い。また素材自体は時期になれば周辺の競合店でも手に入るため、如何にして「その時にその商品を売るか」という仕組み作りが重要なカギとなるのである。ガーデニングブームの後、消費者がより多くの商品知識を持つようになってこの傾向は更に強くなったようである。
 一般に小売業はメーカー、卸売業者にとっての「販売代理人」であり、消費者にとっての「購買代理人」という二面性を持っていると言われている。更に今後はこの二面性に加え、小売業自身が如何にして素材にオリジナルの価値を付け加え、商品としての魅力を高めていくかという役割も大切になってくるだろう。
 仕入れた素材を自店のテイストで仕上げ顧客に提供する。そんな店が「地域一番店」として顧客の強い支持を集めているのである。

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