礼式と操法訓練


[ JVFA電子会議室 ]

名前 TFD 日時 2001 年 6 月 26 日 11:54:11

消防団の体質や服務はさておいて、皆さんの間で批判や疑問が続出の
礼式と操法訓練についてお話してみたいと思います。

 「礼式について。」

 礼式(気をつけや右へ習えのこと)について「軍隊式で旧態依然のことを
なんで消防がやるんだ!火を消すのに関係あるのか!?」という意見が頻繁
に見られます。 「なぜ〜なのか?」と疑問をもったら、「なぜか」を考え
てみましょう。闇雲に「嫌だ!やりたくない!」とか「消防は軍じゃない!」
と突っぱねるのではなく、いろんな方向からアプローチしてみる必要がある
と私は考えます。

 先ず、礼式が必要な理由を説明するには、「軍隊」がなぜ気をつけをした
り、敬礼をしたりするのかを考えて見る必要があるでしょう。それは戦場は
パニックだからです。パニックの中で「誰の言うことを聞けばいいのか?」、
「自分は何をすればいいのか?」を判断するのは非常に困難です。また数人
で動いているのならどうってことはありませんが、大人数で動くと人間には
集団心理が働きパニックがエスカレートすることがあります。礼式はそういっ
た状態を防ぐために、指揮者が部隊を統制するために考え出されたものが気
をつけや敬礼などの礼式なのです。そして効果的であるため、軍隊や警察、
消防などのパニック状態の中で部隊行動を行う組織に広まり、現在でも部隊
行動の基本的要素として用いられているのです。つまり、軍隊の真似をして
る訳ではなく、必要だから消防も取り入れているのです。

 次に歴史的観点から見て見ましょう。消防が公設機関として、日本に初め
に登場したのは1880年に内務省軽視局の消防本部(現東京消防庁)が最
初です。しかし、消防組織としては消防本部とは別に、江戸時代の町火消の
流れを組む消防組というものがありました。しかし、江戸時代の町火消とい
うのは粋でいなせではあったかもしれませんが、先着を争って喧嘩になった
り、文字通り火事場泥棒をするといった性格をもっていました。それになん
と言っても明治に入り法治国家となった日本で、法にもとづかず人の家を壊
したり、水をかけたりするなんてできなかったのです。そこで明治政府は、
「消防章程」を定めて消防組の服務や規律を定めたのです。
 この初期の頃から、消防の訓練も礼式を取り入れたようです。礼式は云わ
ば、消防は素人のがらっぱち集団ではなく、公の機関であり、国民の生命・
身体・財産を守るために非常事態に活動するプロ集団であるという証なので
す。
 さてさて、最後になりますが私の経験に基づいてお話してみましょう。
私も含めて消防職員はまず初任教養として消防学校に入校します。そこで、
先ずは礼式などの規律訓練を嫌というほどさせられます。本当に嫌で嫌で仕
方ありませんでした。もっと実用的な実際の災害活動に必要な知識や技術を
早く身に付けたい!もっと有効な訓練をしたい!と思っていましたし、消防
は公安職とはいえ、なんでここまで軍隊みたいなことをするんだろう?なん
て古くさい世界だ!と思っていました。
 しかし、そんな私たちも卒業するころには、嫌がりつつも号令がかかると
ものの見事に整列し、行進し、敬礼をしていました。そして別れるとまた文
句を言うのです。「まったく軍隊じゃねーよ!うちの会社は!」と。
 結局。卒業するまで誰も「礼式」について肯定的な考えをゆるぎなくもっ
ている人間はいませんでした。なんとなく、「まあ、必要なのかもしれない
からやってるんだろうなあ。。よくわからんが。。」といった感じでした。
 礼式の大切さがわかるようになったのは、災害現場を何度も経験してから
でした。災害が大規模になったり悲惨になればなるほど、混乱をきたすほど
礼式の大切さがわかるようになります。礼式の一つ一つの動きは確かに、災
害活動に直接関わるものではないかもしれませんが、災害時に冷静に行動す
ための心構えというか、パニックの防止には非常に役に立ちます。これは、
言葉では説明し難いことですが、形式や伝統と言うよりもむしろ自分や仲間
の身を守るために取り入れられているのです。
 礼式はとにもかくにも、軍隊を連想させるので批判の対象になりやすいも
のですが、単にイメージだけ先行させたり、他の問題点と混同したり、また
批判しやすいからといって、全ての問題の根源は礼式にある!などと極論に
偏らず、「なぜ〜なのか?」と言うことをゆっくり落ち着いて考えてみると
自分なりに納得する答えが見つかるかもしれません。




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