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炎のすぐ近くの消防団員から炎の大きさがわかる。
消防のリーダーシップ

消防のリーダーシップ
 団員が消防団に不満を持ち消防団をやめるのは、消防団にリーダーシップがないからだ。リーダーシップとは人に命令する権限ではなく、人が求めていることを真剣に聞いて極力その人の要求に応えることのできる能力である。消防団の幹部は特定の団員に負担を多く与えてはならない(特に操法大会など)ことを認識すべきだ。「わたしの消防団では団長の言うことには絶対服従です。」消防団をやめていく多くの人がその原因として幹部とのトラブルを挙げる。原因の多くは独裁的な消防団管理に起因している。消防団幹部が団員の生活や時間を尊重せず、団員の全ての時間を消防団活動に費やすように(わたしも団員の時はそうしたからと)命令する。消防団幹部は威圧的にならざるをえない。意味不明の訓練とか無駄なことをやりたい団員は誰一人としていないのだから、それをやらせるためにはどうしても権力をふりかざす必要にせまられるためだ。今までの消防団幹部は消防団をまとめてゆくために威圧的にたちふるまうことが必要であったのだが、そんな消防団の幹部が消防団のイメージを時代にとりのこされた色あせたものにしてしまう。消防団員は自分の消防団に誇りを持ち、楽しく活動してゆきたいと望んでいる。権力とリーダーシップの違いを今一度考え直す必要があるのではないだろうか。

消防団幹部のコミュニケーションに対する考え方
「消防団には互いの親睦を深めるという大事な目的があるのだ」私が消防団の批判をすると幹部からこう言われた。たしかに親睦は大切である。しかしそのためにキャバレーや温泉に連れて行って酒を飲ませるより前に、消防に必要な知識や情報をしっかりと団員に伝えておく義務が消防団にはあるのではないだろうか。「おまえらは言われたことだけをやっていればよい」では消防団員は活動がいやになるのもあたりまえだ。消防団は親睦のために存在するのではない。消防団の主目的は地域の生命と財産を守ることにある。親睦は共通の目的意識を持った人間が集まればあたりまえにはかることのできる副次的な目的にすぎない。
 コミュニケーションとは情報を他人に与えることだけではなく聞くことである。積極的に聞くということは自分が話しているときと同じ緊張度で人の話を聞くことだ。消防団幹部は消防団員である一人の人間と話をしなければならない。彼らを理解し、団員の消防団に対する問題や痛みに耳を傾けることが何より大切だ。
 消防団員がやめていく理由を聞いたとしても正直に答えてくれるとは限らない。消防団の幹部のやりかたに文句があるのに、家庭とか仕事をその理由とするかもしれない。団員が消防団に対して持っている態度を彼らがやめてしまう前に毎年1回から2回調査をしたらどうだろうか。団員がやめてから考えるのではなくその前兆があればそこで考えることが大切だ。調査は無記名で行い、幹部への気持ち、消防団への不信感あるいは信頼感、消防団のイメージ、時間管理が適切かどうか、団員が消防団にしてもらいたいこと、消防団にしてほしくないこと等に関してアンケートをとってみる。このアンケートによって消防団が本当に団員の事を考えてくれているかどうかの判定を団員が下すのである。
 消防団は大変に価値のある国の資産である。全て税金でまかなうとすれば、ある試算では納税者に対して年間約1兆円増税することになる。もし消防団が団員の基本的欲求である、消防団員としての仲間意識、義務感、自尊心、目的達成意識、挑戦、地域社会とのつながり等の欲求を満たすことができれば退団率と募集の難しさも問題ではなくなるだろう。

消防団員の意識調査
 消防団員の意識を知りたいと思い、平成3年4月私はムラの消防団員と幹部の100人全員に質問状を郵送した。回答が22人から寄せられた。人数は少ないが、考え方の傾向がうかがえて興味深い。
 いわゆる訓練の点では操法大会に対しての質問をした。87%が「操法大会を主催することがポンプ操作の技術を取得するための合理的な方法とはならない」と考えている。81%が「操法大会の訓練で家庭が犠牲になる」と回答。82%が「県の操法大会出場は名誉なこととは言えない」と認識している。69%が「操法は無駄が多いから改善すべき」と回答した。そして78%が「操法大会を廃止してもよい」と考えている。
 さらにアンケート用紙によせられた意見には、「お金を払ってやめることができれば払いたい」「自分の時間がなくなり肉体的精神的につらい」という訓練への批判が多くよせられた。「僕も1、2年のうちに転居するつもりです」と実状をもらす人もいた。大勢の団員が訓練に不満を感じていることがよく分かる。団員の多くが改革を「必要」だと答えている。

消防団員がやめていく
「いままで1年間消防団活動に参加してきましたが価値があるとは思えませんので、退団させて頂きます。すべて消防署にお任せ致します」私は7年前に消防団幹部にこう言った。そしたら大変なことになった。まず消防団幹部が大挙して家に押しかけてきた。それ以後四方八方から圧力がかかる。まず区長がくる。そして村会議員がくる。「根性がない」とか「協調性がない」とか言われる。そして、「あなたにだけわがままを許したとあっては他の団員に示しがつかない」と説得される始末。あげくのはてに、「そんなことを言っているとムラ八分になりますよ」と脅かされる。
 私のムラは人口3千人だが、常時100人の消防団員を維持している。(消防人員数は人口の1%が目安とされる:連邦消防大学)消防団はボランティア組織であるから入団も退団も自由なはずだ。しかし実際はそうではない。消防団の勧誘は徴兵制度みたいなもので強制的なのだ。ムラ八分にならずに入団を拒否するには正当な理由がいる。最も簡単な理由はムラから出ていくことだ。住所を村外に移す。そして消防徴兵制度がおわる年齢になるとムラに帰ってくる。こんなことでいいのだろうか。消防団が団員を強制勧誘しなければならないのは消防団に魅力がないからだ。ムラ八分で脅かさなければならないのはいまの消防団にリーダーシップがないからなのである。

ムラの消防団の怖いお話
 「日本の消防団はまるでダイナソーですね」私の日本の消防団の説明を聞いたアメリカの消防団員がこう言った。ダイナソーとは恐竜のことで、英語では進化しないことの代名詞として使われている。日本の消防団は時代に取り残された、進化することをやめた組織なのである。
 「カエルを鍋の中にいれて水を入れる。少しずつ熱していくとやがて水が沸騰してもカエルは気がつかない。そしてカエルは安楽死する。あなたの町の防災がこんなことにならないように気をつけてほしい」と講師が話す。環境への適応能力がありすぎるとこの問題が起こる。消防団はムラ社会だからお上に対して従順に適応し、独自の考えを持たない。だから消防団は組織の安泰のために、伝統である規律訓練と称する敬礼・行進と操法に固執し、自分達の町を災害から守る権利を放棄してしまっているのだ。

リーダーシップと問題解決
「イママデソウヤッテキタ病には注意しろ」これは私が連邦消防大学での最初の授業で講師から言われた言葉だ。
 どこの消防団にも多くの問題がある。問題が未解決のままだと、災害時の損害が増え怪我や人命の損失を招くことになりかねない。消防団が直面する問題を解決することは、消防団の使命を果たすために必要なことである。問題を解決するために我々が行うことはまずその問題が存在していることを認めることだ。問題をみつけるためには以下の3点に注意する。

1、現在の能力が過去の能力と比べてどうか。
2、目標は達成されているか。
3、あなたの消防団への内部からと外部からの批判。

 消防団幹部は団員の不満を押さえつけて問題を無視することがある。あるいは問題の核心には触れずにその枝葉末節のみがとりあげられる。また時には問題解決を急ぐあまり問題の認識を怠りその原因を追求する事を放棄することがある。消防団はこの様なことにならないように気を付けなけらばならない。

ノミナル・グループ・テクニック(NGT)
 連邦消防大学ではNGTというグループ討論方法を教える。これは広く問題を認識してそれを順序づける方法でその特徴は以下の通り。

・グループのメンバーの間の力と役職の違いをとりはらう。
・特定の人が話し合いを支配することをやめさせる。
・15人未満が望ましく、60分から90分を必要とする。

Step1: 簡潔に誤解のない言葉を選び、質問を用意する。
悪い例: 「来年の消防団の目的とプロジェクトとプログラムは何ですか」
良い例: 「来年の目的を達成するためにどんな障害がありますか」質問を黒板に書く。最初にNGT討論の重要性と出席者の意見が大切であること、会議の目的そして会議の進め方を簡潔に説明する。
Step2: 出席者に質問の返答を文書で書くように伝える。出席者は静かに一人で考える。5分間与える。
Step3: 順番に一人づつ提案を聞いていく。黒板に提案を書き番号をふる。この間話合いはしない。全ての提案が出るまで待つ。関連する提案も出させる。最初に提案が出ない人はパスして後から聞く。
Step4: それぞれの提案でわかりにくいものを明確にする。提案が理解されたらその件についての話はそこではしない。討論はこの時点では避ける。重複する提案をまとめる。関連性のないものは除く。
Step5: それぞれの出席者に小さいカード用紙を配る。それぞれの出席者は重要な5つの項目を選びその番号をカードの中央に書く。1枚のカードに番号は一つ書く。5枚のカードを自分の前に並べる。最も重要なカードを選び右上の角に「5」と書き裏返す。最も重要度の低いカードを選び右上に「1」と書き裏返す。残りの3枚についても同じことをする。2番目に重要なものは「4」、2番目に重要度の低いのが「2」。
Step6: カードを集める。投票結果を黒板に記入する。投票結果に関して討論を促す。それぞれの項目に総合点を与える。(2、1、1、1、という点を得た項目の合計点は5だ。この場合は5点を一票でしか得ていない項目よりも重要と考える。多数派意見の重視。)