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救助機具のOpen Jaws
人命救助(救出と救命)

トラックワークTruck Work
 火を消すには水が必要だが、同じくらい重要なのがこのトラック作業だ。このトラックという言葉ははしご車 (Ladder truck) のトラックからきている。「私の消防団にははしご車がないから関係ない」とは言わないでほしい。はしご車があるなしに関わらず、トラック作業は大切な消防の活動の一つである。

トラックワークの役割は以下の通り。
LADDERIN はしごで2階へ
OVERHAUL 解体・破壊
VENTILATION 換気
ENTRY 侵入
RESCUE 救出
SALVAGE 家財保護
POWER SUPPLY 電源確保
LIGHTING 照明
UTILITY 電線・ガスの管理
SPECIAL(AIR SUPPLY, TRAFFIC,EMS,) 他、エアパック、交通整理、医療活動

換気の重要性
 熱せられた空気と有毒ガスは上昇する。ホースで霧状(フォグ)放水をすると火と熱と有毒ガスは逃げ場を捜して家屋に充満し、消防団員と被災者を襲う。
 換気はホースラインの家屋進入にタイミングを合わせなければならない。換気を急いではならない。ホースラインが進入する反対側で換気する。火災の死亡の80%が屋内だ。
 換気は絶対に必要だ。建物内部にいる人間は煙と熱と有毒ガスで死ぬ。換気、強行進入、捜索は現場に最初に到着した消防団員がおこなう。
 あなたがどんな消防車で現場に到着するのかは関係ない。はしご車でもポンプ車でも自家用車でもローラースケートで走っていってもよい。換気/強行進入/捜索は消防団員に与えられる使命であり、誰かが行わなければならない作業なのだ。

捜索
 通常の火災でトラックワークを行う人数は現場の消防団員の1/3だ。多数の救助活動が必要な現場では当然トラックワークの人員の割合が増える。消防団員が被災者を救う目的で建物全体の捜索を行う最初の捜索をプライマリーサーチという。捜索する順序は以下の通り。

1、燃えている階。火点に最も近いところからはじめる。
2、燃えている階の上の階。
3、最上階そして下へ降りて行く。
4、燃えている階の下の階。

 当り前だが被災者が死んでしまう前に捜索救出活動を実施する。煙の中の捜索は予想以上に時間がかかることを考慮する。きれいな空気の中での活動とは全く異なる。民家の捜索では最低でも二人の消防団員がそれぞれの階で無線機を持参して捜索をするのが望ましい。絶対に消防団員一人で捜索活動をしてはならない。
 火が鎮火した後に捜索することをセカンダリーサーチという。この時は火点から屋外に至るまで全てを捜索する。

内部のトラックワーク
 トラック作業をする消防団員を2班に分けて、1班は内部進入でもう1班は外部から屋根の換気をすることが一般的だ。指揮者がこの指示をする。初期の捜索を遅らせてはならない。
 必要ならば内部から窓を壊し換気をする。最初の消防団員は斧を持ち強行進入、捜索、救助そして換気をする。二人目の消防団員は鳶を持ち、進入、捜索そして他の消防団員の仕事を助けるためにドアは閉めていく。
 内部捜索を指揮する部長は積極的な性格であることが望ましい。もし正面玄関から炎が吹き出していれば裏口から進入する。建物に進入できるのはドアだけではない。必要であれば窓から進入する。

外部のトラックワーク
 建物進入は2階の窓からもできる。窓から進入し内部の状況を指揮者に報告する。捜索は迅速に行う。燃えている階の上で作業をする消防団員は必ずペアで行動する。
 3人目の消防団員は無線を持ち、はしごと鳶を持ち2階から進入する。
 4人目の消防団員は鳶を持ち3人目の団員と共に行動する。

民家のトラックワークの問題点
 煙、熱と有毒ガスは開けてあるドアから家中に充満し2階へ上がる。これらの有毒ガスは避難の道を絶ち、消防団員と被災者を包み込む。まず2階を捜索する。小さな燃焼でも多くの煙とガスを家中に充満させてしまうのだ。
階段 多くの家屋の階段は狭く足場も十分でなく曲がっていることを頭に入れる。
寝室 2階の寝室は非常口となりうる出口もなくドアも開け放たれて煙が進入する場合が多い。1階に寝室があるということは2世帯住宅の可能性もある。
エアコン 窓にはめ込むエアコンは進入時に障害となりまた外れて怪我を負わせる危険がある。
窓にはいろいろな種類があり、脱出するには不適切な場合が多い。
車庫 ガソリン等が置いてあるため危険である。
瓦屋根 瓦は換気を行うには大変難しい。下に破片が落ちてくるので危険だ。

アメリカのボランティア救助隊ファースト・リスポンダー
 アイオワ州のネベイダという人口6000人の小さな町にある消防団はボランティアの救急隊ファースト・リスポンダーを組織している。彼らの車両にはRescue Scuadと書かれており、医療機具のほかに多くの救出用機材を積載している。ファーストリスポンダーが基本的にはレスキュー隊であることがわかる。
 ファースト・リスポンダーの車両は救助工作車である。オープン・ジョーズ(油圧ストレッチャー)、車の座席とダッシュボードに挟まれた人を救出するための専用ストレッチャー、エアバッグ(1枚で24トンの物体を約15センチ持ち上げられる)、エアドリル、エアチズル、鉄板を切断するノコギリ、チェーンソー、発電機、そしてアメリカ消防定番の鉄おの、ハンマーやバールなどが整然と積載してある。
 医療機具も充実している。大きな防水キャンバス地のバッグが3つある。それぞれの中身は同一だ。ファースト・リスポンダーが現場に到着すると、このバッグの一つをつかみ被災者のところまで走る。バッグの中には止血用バンデージ、CPR用の機具、人口呼吸器、頭部固定ギブス等がある。De-Frebicatorという心臓への電気ショック器具を消防団員が使用するというのにはショックを受けた。まず被災者の心臓の上と横腹に電極をあててスイッチを押すと、機具が電気ショックを与えるべきかどうかを自動的に判断する。OKの表示ならば別のボタンを押し作動させる。NOの表示ならば機具を取り外して心臓マッサージに切り替える。“Hope for the best and prepare forthe worst.”ベストの事態を望み最悪の事態に備える。アメリカの消防団は町のヒーロー的存在であり続けようとしている。

市民の要請に応えるために組織される消防団
 昔のアメリカの消防は、火を消すことが仕事だった。だからいまでも消防士(団員)のことをファイアー・ファイター(火と戦う人)という。しかし約25年くらい前から救助・救命の通報件数が火災通報件数よりも多くなった。現在では通報の約75%が火災とは無関係の救助・救命である。消防団は市民の要請に応えるべく組織されている。消火活動のみでは市民の信頼を得ることはできないと、アメリカの消防団は救命活動に力を注ぐようになった。アメリカの救命士のランクは以下の3段階である。

EMT-P  パラ・メディカルと呼ばれる職業救命士。
EMT-I  ファースト・リスポンダーの中間的なレベル。
EMT-A  ファースト・リスポンダーの初歩のランク。

 パラ・メディカルとは主に救急指定病院に勤務している職業救命士のことで、24時間体制で職業消防士と同じような勤務態勢をとっている。私が取材したときにはストーリー・カウンティー・ホスピタルから3人が救急車で来てくれた。彼らの救急車にはあらゆる医療設備があるが、救出用機材はない。パラ・メディカルはレスキュー隊ではないのだ。パラ・メディカルの一人が「ファーストリスポンダーの人たちがいないと、私達は何もできない場合があります。」と言った。パラメディカルとファースト・リスポンダーは職業救命士とボランティア救命士の違いはあるが、うまく協力しあっている。